桐生南無の会のぺージです

時宗 青蓮寺   南無の会は、一宗・一派にこだわらずに、仏教の教えを語る現代版辻説法の会です。
桐生南無の会   人が人として生きるための教えそれが仏教です。


  桐生南無の会29周年念講演会講演録


   「喜ばれる悦び」
 
         ~菩薩行を糧として~

        講師:桐生市ボランティア協議会会長
         桐生災害ボランティアセンターセンター長
 
                  宮 地 由 高 氏
 

28周年記念記念講演会講演録「東日本大震災に被災して」  
                  講師:すばらしい歌津をつくる協議会会長
                     小野寺 寛 氏
 
27周年記念記念講演会講演録「無縁社会から有縁社会に回帰」  
                  講師:すばらしい歌津をつくる協議会会長
                 講師:長寿院住職 篠原鋭一師

 
桐生仏教会100周年・桐生南無の会26周年記念記念講演会講演録
    
「南無そのまんま」  講師:宗教学者・仏教評論家 ひろさちや先生
 
25周年記念記念講演会講演録「心に高き帆を」 
                           講師:長徳寺住職 酒井大岳師
 
24周年記念記念講演会講演録「捨て聖一遍上人~その人と教え~」 
           講師:時宗宗学林学頭、飯能市金蓮寺住職 長島尚道師 
 
23周年記念講演会講演録「生かされて生きる」 
                           講師:重恩寺住職 吉田正彰師


桐生南無の会 会長として掲載した文章 当山住職(本間光雄)の文章

略歴
昭和二十三年 桐生市に生まれる
    法政大学経済学部卒業
昭和四十五年四月 有限会社 青柳 入社
昭和六十四年   社長に就任 現在に至る
桐生市ボランティア協議会会長
桐生災害ボランティアセンターセンター長
NPO法人わたらせライフサービス理事長
NPO法人きりゅう女性支援グループいぶき副理事長             等
『喜ばれる悦び』 ~菩薩行を糧として~ 講演録 
 
 7月4日掲載文(プロローグ)
 6月4日、当日はワールドカップの地区予選で、日本が出場を決める可能性の高い試合が同じ時刻に開催されました。日本中の関心も高く、多くの方がテレビに釘付けになってしまうのではないかと心配を内心していました。
 それにもかかわらず、浄運寺の本堂には例年の通り沢山の方がお越し下さり、災害支援に対する関心の高さを感じました。有り難いことと感謝申し上げます。
 講師の宮地さんは、市内屈指の和菓子処の老舗『青柳』の社長ですが、ボランティアの宮地さんで特に知られている方です。
 その宮地さんの活動の一端を知り、思いの内を語っていただくことは、この桐生に済む人たちにとっても極めて重要なことであります。特に『桐生は災害のない安全な土地である』という安全神話が良く聞かれますが、そんなことは絶対にないと感じている者の一人として、改めて警鐘を鳴らしたいという思いを含めての企画でありました。
 そして、全国にも例がないと言える、自発的な支援活動が、どのようになされているのかを理解する絶好の機会でもあります。
 宮地さんのお話をお聞きして、改めて桐生のすばらしさを感じることが出来ました。桐生という土地の持つ特性、人間性、それは桐生独特の文化とも言えるものです。
 この精神は、自信を失ってしまった一地方都市再生の基盤ではないでしょうか。
 かつては、日本の経済を支えたほどの一大産業都市『織都桐生』の名を欲しいままにした面影を見いだすことはなかなか出来ないものです。人口は30年以上減少の一途をたどっている、諦めムード漂う超高齢化の波にもまれる街。
 でも、宮地さんの目には全く違う桐生の姿が見えていたのです。

 次回から、講演禄を掲載させていただきます。
 なお、会場で皆様に災害支援ボランティアにカンパをお願いし、お寄せいただいた浄財はそのままお宮地さんに託させていただきました。衷心よりお礼申し上げます。
 
 8月4日号掲載文

 
 9月4日号掲載文

 
 10月4日掲載文

 
 11月4日掲載文

 
12月4日号掲載文

 
 2月4日号掲載文

 
 3月4日号掲載文

 
 4月4日号掲載文 

 この続きは録音でお聞きいただけます。お聞きになりたい方は連絡してください。
 
平成25年6月4日記念講演会当日、会場配布用パンフレットより。
菩薩行の人 桐生南無の会 会長 本間 光雄

 菩薩と言えば、観音様が最も有名かもしれませんね。菩薩像をよく見ていただくと、気付かれている方もあるでしょうが着飾った姿をしています。仏の姿とは実に対照的であります。これは仏の教えを実践する姿に他なりません。
 仏の教えの実践として八正道があります。その中に布施行が出て参ります。布施というとお寺に出すものだと思われている方もあるかもしれませんが、仏教徒すべてに求められている実践の行であります。
 たとえ方が極端でありますが、道でお年寄りが荷物を持って歩いていたとします。とても重そうに持っていました。そのお年寄りが、何かにつまずいたかして目の前で転んでしまったとします。そのときあなたはどうされるでしょうか?
 ざまみやがれと、冷ややかな視線を送ってそのまま行ってしまう。そんなことはないと思うのです。思わず自分の手に持っているものを投げ出して『大丈夫ですか?』駆け寄られて助け起こすとか、怪我をしなかったかと確かめたりすることでしょう。
 そのとき、周りを見渡して、人が見ているからその人たちに褒めてもらいたい、そんな考えは浮かんでいないはずです。褒められたいとか、感謝されたいとかの思いなく、ごく自然に行動を起こしているのだと思います。
 そうしなくてはならない、そんな思いに駆られてのことだと思うのです。これがまさしく布施行になるのだと思っています。
 言い換えれば、見返りを求めない行いであると思えるのです。
 私たちは、常に誰かに認めてもらいたい、感謝されたいという願望を持っているのですが、そんなこと一切考えずに何かが出来ると言うことは、本当にすばらしいことです。そして、それを自らの悦びとして生きてゆくことが出来れば、この世に生を受けた甲斐があるというものでありましょう。
 しかし、実行するとなるとなかなか出来ることではありません。いろいろな理由をつけて、出来ないことを正当化しようとするのも私たちの常であります。
 災害支援を通して菩薩行を実践されている宮地さんの思いをお聞かせいただき、何が出来るのかを共に考えたいと思います。
 昨年は被災された方の思いを小野寺さんに語っていただきました。今年は支援する側について考え、万が一に供えることの大切さをも考えてみませんか。
 桐生は災害のない安全な土地だ、良く聞く言葉ですがそんなことは言えないと思うのです。何が起こるのか、分からないのがこの世であります。    合掌
 昨年3月11日午後2時46分、私は藤澤市からの帰宅を急ぐ中、足利市小俣で異常な揺れを感じました。ちょうど赤信号で止まったとたんでした。 目の前の電柱が激しく揺れ、大きくしなり、折れてしまうのではないかと恐怖を覚えたことを昨日の出来事のように思い出します。それからのことは皆さんよくご存じの通りであります。
 この大震災で犠牲になられた方は、行方不明者を含めると2万人近くになります。まさしく、私たちの想像すら及ばない、とてつもない大災害であります。
 桐生仏教会では、百ヶ日法要、一周忌法要を南三陸町と、岩沼市で営ませていただきました。桐生災害支援ボランティアセンター(センター長宮地由高氏)の炊き出しや泥かきボランティアのご縁により、私たちの思いを快く受けていただく事が出来たのです。
 南三陸町の窓口になって下さったのが、今回お招きした、すばらしい歌津をつくる協議会長小野寺寛氏であります。
 去る3月11日、一周忌の供養におうかがいした時、私は南三陸町の伊里前小学校の校庭の砂、津龍院・西光寺の境内の小石や小さな瓦礫片を、岩沼市の恵洪寺境内の小石を持ち帰り、小さな舎利容器に収め毎朝お線香を供えお参りしています。
 私は来年2月、インドのお釈迦様縁の地である仏跡を参拝する旅を計画しています。その時、訪れる聖地に散骨のつもりで納めて来ようと考えています。私にとって、今回の仏跡参拝は慰霊の旅でもあります。
 犠牲となられた方々とともにインドの仏跡を旅し、ご供養をさせていただくのです。私に出来る、せめてもの供養であります。こんな供養があっても良いのかなと考えてのことです。
 供養と合わせて考えなくてはならないのが、残された方の精神的支えであります。頑張れと言うのではなく、悲しみや悩みを共有しようとする姿勢が求められていると感じるのです。
 今日なお『ガンバレ』、もう止めにしませんか。被災された方々は、出口の見えない中で、懸命に過ごされてきています。既に、身も心も疲れ果てていることでしょう。「これ以上何を頑張ればよいのだ」悲鳴のような声が聞こえてくるようでなりません。
 大丈夫、私たちがついている。そんな気持ちを出来るだけ多くの方に持っていただきたいのです。
 小野寺さんの想い、そこから何が私たちに出来るのかを皆で考えようじゃありませんか。必要とされるものは、常に変化しています。ニュースなどで知らされているものと、だいぶ違っている部分があるように思えてなりません。被災地に寄り添い見守る心、少しでもお役に立てますように。
 桐生南無の会は、設立以来会費も会則もありません。毎月4日(原則)に例会を開催し、誰でも自由に参加できることを信条としています。都合の付く時だけ、ぶらりと会場へ足を運んで頂き、お茶代として500円を喜捨頂くだけで結構です。それが私達の活動を支える何よりの励みになります。
 桐生の地で宗派を越えたこのような会が開催できますことは、桐生仏教会の先輩達が築き上げて下さった素晴らしい伝統があってこそです。
 桐生仏教会については、公式ホームページがあります、もし興味がありましたら『桐生仏教会』で検索してください。『積善・桐生のお寺』もホームページ版がご覧頂けます、本を片手に市内の寺巡りをされるのも、楽しいことではないでしょうか。
 今後とも、桐生仏教会・桐生仏教会青年部、桐生南無の会の活動に対しまして、皆様の一層のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。